姿の見えない獣

ある男が山菜を摘んでいると、背後から何物かが近づいてくるような音がした。
てっきり猪か熊だと思い込み、慌てて手近な木の上に登って下を見ていると、
姿の見えない何物かによって草や灌木がなぎ倒され、けもの道が出来上がっていく。
それが遠ざかってから下に降りてみると、辺りには百合の匂いが漂っていた。

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