大学生の頃、ワンルームマンションに一人暮らしをしていました。大学近くにはたくさんの一人暮らしの友人が暮らしており、ある日一人の友人から電話がかかってきました。時間は夜の10時を過ぎた頃だったと思います。
「あのさぁ…今、部屋で一人なんだけど、座ろうと思った座布団に座れないんだよね」
私は彼がまた寝ぼけて電話をしてきたのだと思い
「寝ぼけてるんでしょ?目を覚ましたら?」
と言いました。すると
「違うんだよ。何だか座れないんだよ。変な感じがするから来てくれないかな?」
私には全然訳が分かりません。とりあえず困った時はお互い様かと思い、彼の部屋に行くことにしました。
着いてみると、いつもと変わらない部屋の様子だったので「別に何もないじゃない」とさっさと帰宅しようとしました。しかし彼は
「まあ、せっかく来てくれたんだしお茶でも飲んで行ってよ」
と言うので、仕方なく彼の言う通りにすることにしました。
「じゃあ、それに座ってみてよ。今お茶入れるし」
と彼は座布団を指さして言いました。そして何気なく座布団のほうを向いたその時、私は見てしまいました。
座布団に小さな女の子が座っているんです。私は特別に霊感があるわけでもないし、寝ぼけてもいないのに、確かにそこに女の子が座っているのです。もしかして、彼がその座布団に座れなかったのは女の子が座っていたから?よくわからない状況だったのですが、私はこのことを彼に伝えるために湯沸しの方へ行きました。
「あのさ…実はさぁ…そこに、いるんだよね、女の子が座ってる」
と私が彼に言うと、彼は
「へ?誰もいないよ。何言ってるの?」
と言いました。
「ほら、あの座布団に座ってるよ。だから座れなかったんでしょ?」
と座布団のほうを向くと…そこにはもう誰の姿もなかったのでした。
霊感のない私に見えた彼女は、いったいどこからきたのでしょうか。今でも忘れることができない出来事です。