仕事の関係で知り合ったMは、生まれてから一度だけ怖い体験をしたと話してくれました。
Mが中学生のころ、林間学校の行事でキャンプファイヤーをしていたときのことです。ごうごうと燃える自分より大きい炎を前にして何人かは、離れて見ていましたが、Mを含めた数人は、面白がって近くにあった石を投げ入れていました。
そのうち炎の周りに小石はなくなり、少し遠くの雑草が生い茂る中を探したところ、手のひらより少し大きめの石を見つけたそうです。「この大きさの石を投げ入れたら、炎が大きく動いて面白いだろうな」そう思ったMは、思いきり腕を振ってその石を炎に投げ入れました。
思ったとおり大きく縦に炎は動きMの身長の3倍ほど高く燃え上がりました。しかし次の瞬間Mは、急に頭が煮えるほどの暑さを感じたのです。息が荒くなり、頭が熱いと思ったMは手でおでこを触りました。
するとズリッと何かが手にまとわりつくのです。見てみるとそのまとわりついたものは人間の皮でした。そこからの記憶は無く、Mが目を覚ますと病院のベットの上でした。
顔には包帯が巻かれていましたが、あのときのように頭が熱いことはありません。Mのクラスの先生は、「急にお前が倒れて顔はトマトのように真っ赤だし、顔を触ると顔の皮がむけてしまうので大変驚いた。」と言っていました。「キャンプファイヤーを中止して火を消すとお前の顔が肌色に戻った。燃えた跡を見てみたら顔のある石を見つけたんだ。」と付き添ってくれた友人は言い、その石を見せてくれました。
Mが手に取ったときは、薄暗くてわからなかったのですが、その石はお地蔵様の首だったそうです。その後きちんと手順をふみ、首は元に戻したそうです。Mがその時皮がむけてしまった場所は、その話をしてくれた今でも赤く跡が残っています。