三人の客

俺は霊体験も無いが、ただ一つ不思議な話を親父から聞いた。
親父は真面目で、嘘をつく様な人間ではない。

毎朝、山仕事で家の近くにある山に行くのが日課になっており、その日も山で作業をしていた。
人の声が聞こえるから、声のする方に向かったが、
声のする方との距離は縮まらず、姿形は全く見えないが、
聞こえる声は、「今日は三人の客が来るから、大急ぎで支度をしなきゃならない」と言っている。

一体何事なのかと訝しんで、ドンドン山奥に入っていくと、
突然声は聞こえなくなり、辺りはシーンと静まり返り、今いる所が何処か全く分からない。
ふと、川の流れる音が聞こえ、その方向に進んでいくと、小川の向こう岸に、
蛇・蛙・鼠・鳥など色々な動物の屍骸が、三つこんもりとした山の形に積まれている光景が現れた。

それを見た親父はどこをどう走ったか、もう無我夢中で駆け、蒼白の顔をして家に辿り着いた。
それ以来、親父は、その光景を見た山に入ろうとはしなかったんだ。

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