友人の話。
彼は地元の神社の氏子の一員である。
毎年、大晦日から元旦にかけて、参拝客にお神酒を振舞うのだそうだ。
ある年、見知らぬお爺さんが社の中に腰掛けているのが見えた。
杖にもたれて参拝客を眺めては、ニコニコと微笑んでいる。
お爺さんは、彼がちょっと目を離した隙にいなくなってしまった。
社内にいたということは関係者であろうと思い、誰かと仲間に問うてみた。
お爺さんが見えていたのは彼だけだった。
社内には誰も入っていないはずだ、と皆に言われたそうだ。
信仰心が薄かった彼に、一体何が見えたのだろうか。
現在の彼は、氏子の行事に熱心に参加しているという。
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