中学生の時の体験。
私の部屋と父の部屋は、フスマで仕切られている。私はいつものように、いつもの時間に寝た。
深夜、ふと目が覚めた。フスマから漏れる光がまぶしかったせいだ。また父親がTV付けっぱなしで寝てるのかと思い、TVを消しに父の部屋に入ろうとフスマをそっと開けた。すると、父親の頭だけが空中に浮き、高速で回転しながら部屋をぐるぐる回っていた。光はその頭全体から放たれていた。顔は笑っていた。胴体は布団に横になったままだった。あまりの驚愕に声すら出ない。なぜか父と目が合ったら殺されると思い、フスマを閉めた。
午前3:00。当然眠れない。隣の部屋からはまだ光が漏れている。父が起きる6時まで布団をかぶって、稲中卓球部を見つつ気を紛らわす事にした。
外が明るくなり、6時になった。父は起き抜けに1本タバコを吸う。その臭いがフスマから漏れて来た。恐る恐るフスマを開けた。父は私を見て「おはよ」と言った。頭は胴体にくっついて、いつもの父親だった。安堵と共に涙がでてきた。
深夜に起こった出来事を話すと、急に嫌悪感まるだしの表情に。「そんなデタラメあるわけないだろう。朝から馬鹿なこと言ってんじゃない」と怒り始めた。私は泣きながら何度も「首、痛く無い?」と聞いたが、怒るだけ。
その後、父親は特に病気になるでもなく、今も生きている。あれはなんだったのだろうか。
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本当の父親じゃなかったりしてな