幼少時、実家の裏山で得体の知れない物を見たという。山道を歩いていると、すぐ目の前を黒くて長い物が通り抜けたのだ。大きい。蛇がするように横方向に見をくねらせながら、あっという間に藪の中へ消え去る。それが通り過ぎた道の上には、粘液を思わせる光った筋が残されていた。幸運だったのかどうか、彼の方にはまったく興味を示さなかったという。
家に帰ってから、父親に見たことを報告した。「鰻だろう。あいつら川から川へ移動する時、地の上を這いやがるんだ」縄をなう手を休めずに、平然と親父さんは答えた。釈然としない彼はこう付け加えてみる。「僕よりずっと大きかったんだけど・・・」親父さんは生真面目な顔で頷きながら断言した。「大鰻だったんだな」この話題が続くことはそれきりなかったという。
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鰻は皮膚呼吸できるそうだから、地面に上がっても生きてられるそうだ