四十九日まで彷徨っていた父の幽霊

私が3人目の赤ちゃんを妊娠し6か月目の頃、突然出血してしまい早産の危険があるため仕事を休むことになりました。その日の夜に母から父が交通事故で亡くなったとの連絡が入りました。葬儀をすませた晩から毎日、夜中になると奇妙なことがおこりはじめました。台所や廊下でひたひたと歩き回る足音が聞こえます。私はその音に気がついていましたが、怖くて様子を見に行くことができません。気のせいだろうと思うことにしましたがやはり誰かの足音が聞こえます。だんだんとその足音は私の部屋へと近づいてきます。

私は恐怖で布団を頭の先からすっぽりとかぶり見えないように、耳をふざいで何もきこえないようにしました。それでも心臓の鼓動とともに見えない恐怖で震えていると金縛りにあいました。声を出そうにも声になりません。全身から汗が噴き出て、かぶった布団の暑さも重なり息苦しく感じていると腰や臀部のあたりを布団の下から持ち上げられるような感覚にあいました。それは私の身体が持ち上がるほどの力でした。そのうち耳鳴りがはじまり、金縛りはとけて恐怖心も薄れていきました。夜の訪問者がいなくなったのだと感じました。時刻は夜中の2時でした。私は寝ている母や子供たち、夫を様子を眺めて部屋の電気をできるだけつけて床につきました。

翌朝、母にこの出来事を話すと「お父さんがあいさつにきたんじゃないのかな?」といいました。49日まではなくなるとしばらくはさまよい歩くと聞いたことがあります。皆にあいさつに回っているのでしょうか。私の兄や姉にも電話をして聞いてみると、やはり奇妙なことがあったようでした。姉は夜中に誰かに足をつかまれて恐ろしい思いをしたとのこと。兄は居間でくつろいでいると、かざっていた花が揺れていることがあったり、誰もいない2階の部屋のドアが閉まる音が聞こえるなど見えない存在を感じたようです。母は耳鳴りのような音を聞くことが多かったので、恐怖心はなかったようです。そのような出来事は49日まで毎晩続くことになりました。しかし49日を過ぎると奇妙な出来事はぴたりとやみました。盛り塩をしても効果がなかったのに、やはり父は訪れていたのでしょうか。

不思議なことに早産の危険があった私は、それから出血もせずにおなかの痛みも良くなっていきました。ある晩に身体が持ち上がるほど腰や臀部を押されたからでしょうか。3人目の孫の誕生を楽しみにしていた父のおかげもすこしあるような、そんな気がしています。毎夜、父が来てくれている。それは亡くしたばかりの家族にとって、ささやかなプレゼントのようにさえ思える貴重な時間でした。でも、今でも思うのですが父だけが訪問していたわけではなかった気がしています。怖くてそれは誰にも話をできませんが…

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