中古の冷蔵庫からノックの音が聞こえてくる

俺の友人に霊感のある奴(自称)がいる。ある日、そいつ(B)から何故かFAXが来た。
「今日、オモロイ物買ったから見においで」
ノコノコとBの家に行った。
「来た来た、まあ上がりな」
「面白いものって何よ?」
俺が訪ねるとBは冷蔵庫を指差した。

その冷蔵庫は緑色で取っ手の所は、黒に銀のラインが入ったレトロな物だった。
「何コレ?中古?」
「うん、リサイクルセンター行ったらコイツがあってさ、霊的な物感じたからさ、買ってしまったよ」
「・・え!、いわく付きなの?」
「いや、いわくっつーか、悪い霊ではないんだけど、地縛霊みたいもんだよ、子供だし」
「何か変な行動起こすの、こいつ?」
「んー、夜中に唸るかな、「・~~」って」
「それってモーターかなんかの音なんじゃないの?」
「それがさ、耳じゃ無く頭の中に聞こえるんだよね」
「いや、その感覚全然わからん」
「ま、ゆっくりしていきなよ、その内体験出来るかもしれないからさ」

そうしてBと遊んでいたら喉が乾いてきたので「なんか飲み物ないかな?」と聞くと「冷蔵庫の中から勝手に好きな物飲んで良いよ」と、答えたので冷蔵庫の前に行った。冷蔵庫からガコンッ!と音が鳴り、その後に
「・~ん・・」とモーター音のような音がする。その音は何と言うか耳鳴りのような感じで聞こえて来る。

「気のせいだろ、たかが冷蔵庫じゃねえか」
そう思い、冷蔵庫を小馬鹿にするようにペシペシと軽く叩いた。
すると「コンコン・・」と冷蔵庫の中からノックするような音が・・・。

「おっ・・」
Bが呟く、俺が戸惑っていると、その音は
「コンコン・・コンコン・・、ココココココ・・」
と連打!
「おいおいおい!恐くて開けられないんですけど・・」
俺が言うと、Bは「気に入られたかもしれないね、大丈夫だよ、害は無いからさ」と言ったので、そんなもんかなと思いつつもビビリながら開けようとするが、全然開かない。いくら力を入れても開かない。恐怖心で力が入らないんだ、そう思い何度もやったが駄目だった。

みかねたBが笑いながら冷蔵庫を簡単に開けた。
「きっとお前に見られるのが恥ずかしかったんだな、うん」
「いや、見たく無いし、あ!あれだ、きっと冷蔵庫の中の物が振動で揺れていたんだ、それであんな音がしたのか」
「ま、そーゆー考え方もあるわなぁ」
一番恐かったのはBが冷蔵庫から取り出した飲み物がカロリーメイトだった事。
「これしかないんだよ」

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