【鳥の奇怪な叫び声】登山中、奇妙な現象に出くわした話

先々週かな、久しぶりに山に行ってきたんだ。雨上がりでちょっと霧が出てる日だったんだけど、昼から少し晴れてきたんで最小限の装備持って山に出かけた。山道を3分ほど登っていくといつもの山に入る道に着くんだけど、冬でヒッツキモッチキ(服にくっつく草)が大量に生えてて通れない。仕方ないので上のほうの岩際を通って山を登り始めた。

いつもより大分左側から上り始めたけど5分もしないうちにいつものルートに合流できた。なんで道が分かるかっていうと今年の夏に3メートル間隔くらいで竹を立てておいたのだ。その竹を見つけたので「あぁ、ここに繋がってるのか」って思いながら一服した。ちょっと休憩して登るのを再開。このルートは中腹的な(土塁跡)場所があって、そこはちょっと開けてる。山道の途中がぽこっと高くなっててその周りにヤブが生い茂ってる感じ。で、そこから下に4メートルくらい下にいた時、変な声が聞こえた。

声、だったかは分からない…音だったのかもしれない。
「トゥツツツ・・・ツツ・・・」
電話のコール音をすごく低くして不協和音を足した感じだった。上の方から聞こえてくる。
「・・・・鳥か?」
そう思いながらさらに登っていく。足元に竹を見つけたので中腹までは3メートルくらいになった。

またあの声が聞こえる。立ち止まって耳を澄ましてみると、5秒くらいの感覚で聞こえてくる。しかもだんだん近づいてきているようだった。声の聞こえる方向、中腹を見上げるけどヤブで見えない。声は相変わらず近づいてくる。気味が悪くなって腰に下げたナタの布を取ったが、声は中腹辺りで動かなくなった。悪い感じはしない、けど近づきたくないような微妙な感じだった。確かめたいけど確かめると悪いかもしれないし、でも確かめると良い事が起きるかも、みたいな…。右手にナタ構えてしゃがんで中腹を見続けた。声は相変わらず断続的に聞こえてくる。

睨みあっていると、突然鳥が飛んできた。ピィーピィー大きな声で鳴きながら飛んでくる。中腹の木に止まると相変わらずピィーピィー鳴き続けた。しばらく鳴いていると降りたが、その瞬間すごい声に変わった。
ピィピィピィピィーピィーピィpィpィピlピpィ
表現できないようなけたたましい鳴き声だった。バサバサって羽ばたく声は聞こえるけどブッシュで見えない。怖くはないし嫌な感じもないが、とにかくヤバい気がした。

山に上った経験がある人は知ってるだろうけど登った道を逆走するのは難しい。道として整備されていれば問題ないけど木をかき分けて登るような登り方をすると、降りるときまったく見分けがつかなくなる。焦ってたから余計に道がわからない。声はまだ後ろから聞こえてきた。

急斜面で木をつかみにくいけどナタは離さない。また鳥の鳴き声が聞こえてきた。胸騒ぎがする。滑るように急斜面を下りて山道に飛び出した。かなり息が切れていた、耳を澄ませる。鳥の鳴き声も変な声も聞こえなかった…俺は脱力してそこに座り込んだ。

その後は何ら不思議なこともなく帰宅した。あの声なんだったんだろう…できればもう出会いたくない。

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