【切ない話】うちの猫はまだ成仏できていないのだろうか【奇妙な再会】

私は茶トラの猫を飼っていました。もう死んで7年になる。死因はわからない。ベランダでガラス越しに母に寄り添うように死んでいた。猫が死んだ冬のことだった。私が居間にあるコタツの前に立った瞬間コタツの中から茶色い物体が飛び出してきた。それは私の足に飛び掛かった、と思った瞬間に消えてしまった。

少し落ちついてから、あれは絶対にうちの猫だと思った。うちの猫は物陰に隠れて人の足にじゃれつくクセがあったからだ。数年してから今度は猫の夢を見た。あまりにも印象に残ったのでオカ板で夢診断をしてもらった。それによるとすでに成仏して私を見守っているとのこと。それを聞いて本当に安心した。

だけどその夢を見てしばらくたったころに妙なことがあった。私は玄関で、なついた野良猫をなでていた。玄関の横には庭に通じる道があるのだが、すでに暗くなっていたのと木が生い茂っているせいで深い闇が落ちていた。野良猫はくつろいだ様子でお腹を見せていたが、急に起き上がると庭に通じる道に向かって唸りはじめた。私は他の猫がいるのかと覗くが、暗くて何も見えない。それでも野良猫は唸り続ける。もう一度目を凝らして見ると、すうっと猫の姿が現れた。さっきまで気付かなかったのがおかしいぐらいはっきり見える。その猫は私が飼っていた猫によく似ていた。

その猫は身構えて唸る野良猫と対象的に、落ち着いて座り、野良猫を無表情に見つめていた。両方野良猫なのにこんなことがあるのかな、と思いつつ「お前、どうしたの?」と暗闇に現れた猫に声をかけた。猫はスッと私を見てからのんびりと立ち上がり庭へと歩き出した。私はその後ろ姿を見つめていたが途中で闇に消えて見えなくなってしまった。見えなくなったのと同時に野良猫は唸るのをやめた。

その時は似てるな、と思っただけだったけど、後で思い返すとやっぱりうちの猫にしか思えない。夢診断をしてくれた方を疑うようで悪いけれど、うちの猫はまだ成仏していないのだろうか。

>>
きっとそのぬこは、かつての自分とその野良ぬこを重ねていたんだな。

(・ω・)≪久々に来たよ。今はそうやって可愛がってもらえないから、少し寂しいよ。でも、君が相変わらずぬこ好きでいてくれて、安心したよ。

こっちは大丈夫だよ、いつも君を見守っているからね。

お母さんによろしくノシ

メールアドレスが公開されることはありません。