【パラレルワールドへの入口】心霊トンネルではぐれた友人の末路

もう10年以上前の話になるんだけど、ちょうどお正月休みで県外に出ていた友人たちが集まって、新年会やら同窓会やらやってた時期の話。どこの地域でも心霊スポットっていうのはいくつかあると思うんだけど、地元長崎では一番メジャーだった幽霊屋敷が取り壊されてから、これといってガチって所がなかったんだよね。(正確には、デマだと分かってたりして、本当にヤバい場所を他に知らなかった)

で、久しぶりに同級生が集まった時に、ドライブに行くことになって、3人で出かけたんだ。内野(仮名♂)、白石(仮名♀)、久松(俺、もちろん仮名)のメンバーで盛り上がってた。目的地も決めずにダラダラと深夜のドライブをしてる内に、いわれは知らないけど出るらしいって噂のトンネルの近くまで来たんだよ。お互いにいい大人だし、いまさら心霊スポットなんて…とは思ったんだけど、どうせだから行ってみる?みたいな流れになってさ。

まぁ、実際に今までそのトンネルを何度も通って何もなかったから、みんな話のネタにって感じのノリだったと思う。運転してたのは内野で、最初はどこか邪魔にならない場所に車を停めて、みんなでトンネル内を歩くつもりだった。だけど、思いのほかトンネルまでの道路が狭くて路駐スペースがなかった事を理由に、内野は車をトンネル先に停めて二人が歩いて出てくるのを待ってる事になった。万が一、他の車両が来たら、いったん離れて迎えに来るみたいな感じ。ま、寒かったのもあって降りたくなかっただけかも知れないけど。

トンネル入り口で、俺と白石が降り、内野はトンネルに入っていった。ふざけてファファーンとトンネル内でクラクションを鳴らし、出口を抜けた所でハザードランプが点いたとこまでは見えた。だけど、すぐにそのハザードは消えて、テールランプも見えなくなった。正直その時は、雰囲気出すためにわざと消したんだろうとしか思ってなかったんだけど。バスが一台通るのがやっとぐらいの道幅のトンネルで、入り口からは出口が見える長さ、対向車がくればトンネルに入らずに待たなきゃならない。確かに不気味ではあるけれど、何事もなく二人でトンネル通過。ところが出口に内野がいない。対向車が来たわけでもないし、出口を見ながら歩いてたから、発進したなら気づいたはずなんだけど。夜中だと他の車も通らないような場所で、置き去りにされても別の意味で洒落になんないので、白石が内野に電話した。

「出てきたけど、どこにいるの?」
「は?俺、動いてないけど。出たとこ停まってるし。」
「嘘?だって私たち、今トンネル抜けたよ」
「言ってる意味分かんない、誰も来てないし、それ…誰…えない…」
「もしもし?もしもし?」
「…(ほとんどがノイズ)…来た?」
結局、そのまま電話は切れ、それからかけ直しても圏外のアナウンスが流れるだけ。俺の携帯は内野の車の中だったし、このまま待っててもラチがあかないので、歩いて大通りまで出て、タクシーを呼ぶことになった。結構な田舎だったから、待たされた上にかなりの出費だった…。

結局、内野はそれっきり行方不明。不思議なことに、俺の携帯だけが圏外にならずに呼び出し音がなるので、何度か電話してたんだけど、翌日の朝に散歩中の人がそのトンネルの入り口付近で、内野の携帯を拾って届けてくれたらしく、ほぼ無傷で戻ってきた。出口付近に内野は車を停めていたのに、なんで入り口付近(二人が車を降りた辺り)で見つかったのか、それもまた不思議だし、俺が白石の電話を借りて何度も呼び出ししてる合間に、内野からの着信も何度か混じっていた。一件だけ留守電も入ってたんだけど、「久松、いつになったら出てくるんだよ」だけで、後はノイズが多くて聞き取れない状態だった。

未だに内野は見つからないし、この時期になると思い出して、なんともやるせない気持ちになる。あれから、何度か同じトンネルを通ったけど、何もおかしな事はなかったし、携帯が圏外になるような場所でもなかった。

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