退職する原因となった恐怖体験と会社が隠していた秘密について

先月、会社を辞めざるを得なかった時の話。
当方、その会社に勤めて3年目の女。特定されるかもしれんが、もう辞めたし、会社がどうなろうが知ったこっちゃないので話す。

建築関係の会社に勤めていたんだが…入社当時は事務じゃなく営業として働いてた。しかし勤め始めて半年程たった時、事務のお姉さんが産休に入ることになった。女が私しか居ない小さな会社。半ば強制的に私が事務を引き受けることになった。事務について社長から説明を受けたあと、社長が「事務の子はあんまり長続きしないんだよね」と言ってきた。その時は適当な相槌打って流してた。事務と言っても経理までやるわけじゃないし、仕事自体はすごく楽で暇だった。「あーこんなに暇じゃ退屈でみんな辞めてくよなー」と社長の言葉にも納得していたのだ。

ここからが本題。先月、その会社を辞めざるを得なくなった事件が起きた。その日もいつも通り出勤してきて適当にポットのお湯沸かしたり、朝刊確認したりと、朝の雑務をこなしていた。エレベーターホールからエレベーターが上ってきた音がした。「あーこの時間はY部長だな」とかそんなことを考えながら入り口に目をやった。案の定Y部長であった。いつも通り挨拶しようとしたら、Y部長のちょっと後に女の人がいて、入り口のすぐ向かいにある応接室にスッと入っていったんだ。

「あれ?こんな朝早くY部長のお客様かな?」って思った。私はお茶を用意しようと思い、Y部長に「今お客様、お見えになりましたか?お一人でよろしいですか?」と確認した。Y部長は不思議そうな顔をして「いや…誰も来てないと思いますが…」って言うんだよ。私はおかしいなと思って応接室に行ってみた。…確かに誰もいない。それに、なんか畳のような焦げ臭いような変な匂いがしたのを覚えてる。なんか気味が悪くなって、すぐに自分のデスクに戻ったんだ。まぁその日は、大事にしたくなかったし、誰にもその話はしないで終わったんだ。

その次の日、なんと全く同じ事が起きた。「今お客様見えましたよねぇ!?」とY部長に確認。Y部長は「いや、来てませんよ…?」と。いや、絶対来てたはずだ。昨日と同じ背格好のパンツスーツの女性が見えたんだもん。
再び慌てて応接室へ。その後を追ってくるY部長。さすがに私も若干取り乱していたと思う。やっぱり誰もいない。そして昨日と同じ変な匂い。私が首をかしげてるのを見てY部長が一言…「もしかして…。Sさん(私のこと)、変な匂いしませんか?」

私は「あーなんかしますね。昨日もしてたんですよ。ちょっと換気しましょうか」と気持ちを落ち着かせようとそう応えた。そしたら今度はY部長が青ざめた様子でうつむいて震えてるんだよ。「どうかされましたか?」って、たずねようとしたらY部長がバッと顔を上げて「行くところがある。Sさんも来なさい…」って言う。私はめったに外回りとか、社用の外出とかがない。だから意味が分からなかった。

「え、どちらに行かれるんですか?」って聞いたら「とりあえず話は後です。今は黙ってついてきてください」って言うんだ。そして社員の一人に何か話している。私は慌ててコートやバッグを持ってY部長に着いて行った。Y部長の車に乗り込む。Y部長はどこかに電話している。「例の女性がでた」とか「まただ」とかそんな言葉を多様してたように思う。正直、緊張と恐怖であんまり覚えてない。Y部長は最後に「これからすぐ向かいます」とだけ言って電話を切った。Y部長が運転する車は高速に乗り、2時間くらい走ったところで高速を降りた。

高速降りてちょっと走ったら、部長は車を路肩に止めた。そしてトランクを漁り出し一枚の細長いタオルを取り出し「申し訳ないがこれで目隠しをしてくれないか?」と私に渡してきた。私は怖かったので思わず「嫌です。一体なんなんですか?どこに行くんですか?」と問い詰めた。部長は「私を信じてください。大丈夫です。だからお願いします」としか言わない。仕方ないから目隠しをした。部長はすぐに運転を再開したようだった。一体どれほど走っただろうか。

部長が車を止めたようだ。
「Sさん、タオルを外してください」
私がタオルを外すと、車の目の前には大きいスギノキ。その横に和服を着た女性が。どうやらここは森の中のようだ。私はいきなり視界が自由になったのと緊張でふらふらしてなかなか車から降りられなかった。部長がドアを開けてくれて肩を貸してくれた。そのまま和服の女性に近づく。女性はY部長とアイコンタクトらしきものを取っていた。どうやら初対面じゃないらしい。

「この子が例の…」とY部長が話しかけたら女性は話をさえぎり「話は後で。大体把握出来ていますから。それより急ぎましょう」と森の奥へ奥へとどんどん歩いて行く。私と部長はその後を着いて行った。すると、お寺みたいな建物が見えてきた。その建物を見たとき、今更になって「あーきっと会社で見た女性は、霊的なものだったんだろうなー」って思った。私たちはその建物のの横にある、小さな古屋みたいなところに通された。しばらくして、ご住職みたいな人が現れた。

「こんにちは。Yさん、お久しぶりですね。そちらのお嬢さんがSさんか。初めまして。私はここの住職でございます。」
そして、住職はY部長に「Sさんにはあの事は話していたのですか?」と質問していた。Y部長は「いえ…それが…」とうつむいている。住職は一瞬怖い顔をしたが、すぐに優しい顔になり「まぁ話は後です。準備は出来ています。どうぞこちらへ。」と6畳ほどの暗い和室に私のみが通された。そこには経文(きょうもん)やらじゅずやら太鼓やらロウソクやら、いかにもこれから除霊しますよというようなものが置いてあった。その中でも一番気になったのが小さなビンだ。暗くて何が入ってるかはわからないが、なにかが詰めてあった。

「さぁ、どうぞこちらへ。」と座布団を差し出され、私はそこに正座した。「これからなにがあっても目を開けてはいけません。」と住職が言う。私はもう言われた通りにするしかなかった。
「では目を閉じてください」
ここからは何が起こっているか、住職が何をしていたか分からない。ただやたらと大きいお経とまたそれとは別の声がしていたように思う。私の意識はそこで途絶えた。気がつくと私は崩れるようにその場で横になっていた。

「気がつきましたか?」
どうやら住職に起こされたようだった。
「今日は疲れたでしょう。泊まって行くと良い。」と私を抱えて立たせてくれた。聞きたい事はいっぱいあるのに上手く喋れない。声が出ない。別室に移され、そこにはお布団が用意してあり、住職は私を横に寝かせてくれたのだ。

もう外は暗い。住職は「もう大丈夫ですよ。ゆっくり休んでください」とニッコリ。私は自然と涙がこぼれ、止まらなくなっていた。住職は「一人じゃ心細いでしょう。一人、ここにいさせますので」と外で見た和服の女性を呼んでくれた。気がついたら外が明るくなっていた。横には和服の女性が。ずっと付いていてくれたのだろうか。「起きましたか?丸一日眠っていたんですよ。まぁ詳しく言うと丸一日半ですけど」と笑いながら「ではご住職を呼んできます」と部屋を出て行った。寝すぎたせいか頭が回らない。何も考えられない。ぼーっとしてるとふすまが開いて住職が入ってきた。

「おはようございます。体調はいかがですか?食事の用意が出来ていますがどうしますか?」と聞いてきたので私は「食欲がありませんので…それより…」と事情を聞こうとしたら住職に「忘れましょう。すべて悪い夢だったのです。もう大丈夫」と話をさえぎられてしまった。気になることはいっぱいあった。でももう何も考えたくなかった。それに、これ以上聞いてもきっと住職は教えてくれないだろと思い、私は住職の言うことを受け入れた。

それから半日ほどそこで過ごしただろうか。和服の女性が「お迎えが来ましたよ」と部屋に入って来た。身支度を整え、外に出ると社長とY部長が立っていた。社長もY部長も泣いていた。「ごめんなごめんな」と何度も言っていた気がする。私は何も喋りたくなかった。一刻も早く家に帰りたかった。帰りの車中では、私も社長もY部長も終始無言だった。家では、両親が私の帰りを待っていた。しかし私はすぐに部屋に篭った。リビングでは社長とY部長が何かを話しているようだった。

社長たちが帰ったあと、私はリビングに行った。両親は私の顔を見ると泣き出した。そして「大丈夫か?もう何も心配するな。会社ももう辞めていいから」と言ってくれた。机の上には退職金とは思えないほどの札束が置いてあった。あれから会社には行ってないし、本当の事情も聞いていない。あれはなんだったのだろうか。会社を辞めてしまった今では何も分からない。今は無職で家事手伝いをやっている。

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相当やばいもんに憑かれたんだな・・・

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今思えば、何があったのかちゃんと聞いておけば良かったのかもしれないが、当時は疲れと緊張と恐怖でそれどころじゃなかったな。

ちゃんと聞いておけばここでも話題にできたのかもしれないが。

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ふつうに怖いな・・・お寺に行かなければどうなったか想像しただけで怖い・・・

しかも退職金が大金とは、世の中には知られてはいけないものがあるということか。

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ちゃんと聞いていたら消されたんじゃないの。
知らぬが仏って言葉があるしな~

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社長が事務の子は続かないって言ってた本当の意味が分かったよ。

もう関わりたくないな。実は実家の会社が、働いてた会社の顧客だったんだか契約は解消した。

だからもう関わることもないだろうけど。しばらくはこの退職金で生活していこうと思う。

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