トイレに横たわる首のない女の体と生首の行方

私の父の友人に、Yさんという船乗りがいます。
そのYさんの家の近くに、これまた父の友人Kさんがいます。(会社の同僚で一人暮し)で、家も近いしと言うことで一度そのYさんとKさんと父とで飲みに行ったそうです。YさんとKさんは初対面でした。

飲んでいる途中、Yさんが「先日恐ろしい目にあった」という話を始めました。数日前、Yさんが船室で寝ていたときのことです。金縛りにあい目を覚ましたYさん。ふと部屋の角を見上げると、なんと女の生首が浮いていたそうです。Yさんは声も出せなかったのですが、生首はニタニタ笑いながら急降下してきて、寝ているYさんの目の前をスレスレで飛んでいき、また対角の天井の角で止まりました。するとまたクルリと向きを変え、同じように急降下してくるのです。それが何度も繰り返されたそうです。たまらなくなったYさんが全身の力をこめると声が出たので、大声をあげると、生首はスーッと消えたそうです。

そこまで話すと、Kさんの顔色が変わりました。おかしく思った父とYさんが尋ねると、Kさんも数日前に恐ろしい目にあったというのです。Kさんの話はこうでした。夜中に目が覚めてトイレに行きました。トイレのドアを開けると、足に何かがぶつかったそうです。何も置いていなかったはずなのに、と足元を見ると、女の首から下の体がゴロンと横たわっていたのです。驚いたKさんは慌てて部屋にかえり、布団を頭からかぶって震えていると、トイレの方向から足音がしてくるのです。足音はそのままこちらに近付いてきて、Kさんの部屋のドアを開け、入ってきました。

布団の隙間からそっと部屋の様子を見ると、案の定、首なしの女が明かにKさんを探しているのです。Kさんはそのまま恐怖で気を失い、気が付いたら朝だったそうです。その後、YさんとKさんにそれぞれの話の正確な日付けを聞くと、二人が恐ろしい目にあった日は全く同じだったそうです。ちなみにKさんは必死で父に頼みこみ、その日はウチに泊まりに来ました…。

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