深夜ドライブの帰りの早朝に必ず立ち寄るお寺の住職から聞いた話なんだが、今ここで何故そんな話をわざわざ書き込むのかは問わないで欲しい。
住職が言うには寺の業として、今でも『御祓い』の依頼は多かれ少なかれあるそうだが、住職が言う『御祓い』はちょっとわけが違う。お寺には必ず本堂とは異なり、少し奥まったところに小さな御堂があって、そこで行われる『御払い』がある。年々増加も減りもしないそうだが、『ひきつけ』や『憑かれ』にかかった人のための『御払い』があるらしい。
その奥まった小さな御堂こそが代々から継がれたもので、お寺にとっては本堂よりも重要な場所で、一般者は絶対に近づけない工夫がされている。御払い』はそこで深夜に行われるのだが、昨今若者達の肝試しなどでその御堂に引き込まれるケースがあるそうだ。『引き込まれる』というのは、つまり『憑かれる』ことを意味し、憑かれたものを『憑かれ人』や『お憑かれさん』などと呼ぶ。技術も発達したこの世の中にそんな風習じみた事と思うだろうが、原因不明の病はこの『御払い』で清められることも実際にあるらしい。
深夜のお寺に行くのであれば、くれぐれも奥の御堂には訪れないように。