穴の妖怪に祟られている一族

塾の夏期講習で知り合ったJは、ある場所がとても苦手でした。公衆トイレの個室やマンホールの側などを怖がる子だったので、時々付き添いを頼まれていました。イタズラでトイレの付き添いを頼まれたにも関わらず側を離れようとしたときがありました。




するとドアで見えないはずなのに「離れないで!」といわれたことが数回あったのです。そのため一度もイタズラは成功したことがありませんでした。ある日なぜ穴のある場所が怖いのか聞いたことがありました。

Jが7歳のころ住んでいた家が古い日本家屋でトイレが汲み取り式のトイレ、つまりぼっとん便所だったといいます。しゃがんで用を足す和式便器で、中を覗くと真っ暗闇に引きずり込まれそうで怖かったそうです。夜中、いつものように母にトイレのドアの前で待っていてもらったときのこと、事件が起きました。

Jが便器の上に立った瞬間、いきなり便器がぐわっと広がってトイレの床全体が便器になったのです。足場がなくなったJは、便器の中に落ちてしまいました。上は小さい便器の穴からトイレの電球が見えて、下は糞尿があるわけではなく、黒いわたに包まれたような感覚だったといいます。そしていきなり上から手を引っ張られて自分は母親に便器の中から救い出されたそうです。

母は慌てている様子ではなく
「目を付けられたね。これからは、一人で穴のある場所に行くんじゃないよ。また吸い込まれるから。」とあくびしながら言い聞かせたらしいです。

「自分の家系は、穴に引きずり込む妖怪に遊ばれて・・・いや、祟られているんだ。ただ引きずり込むだけだから命の危険とかはないんだけど俺は怖い。」とJはいいます。

よくわからない話ですが、私は信じます。なぜなら「穴の側で一人になると穴が広がろうとするからお前がトイレから離れようとしていることがわかる」と言ったからです。

『穴の妖怪に祟られている一族』へのコメント

  1. 名前:匿名 : 投稿日:2016/01/05(火) 02:43:03 ID:
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    オゾンホール広がると困るから、南極へは行かないでね

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