山の中に1本だけある桜の木

桜の話
爺様曰く
「山中に一本だけポツンとある桜の下で夜を明かしては行けない。桜は弱い。たまたま山中に芽吹いたとしても長らえることはできない。にも関わらず、周りの木々に負けず一本だけで生きる桜というのは山の怪の持ち物、もしくは桜そのものが怪なのだ。そんなモノの下で眠りこければ、桜に喰われ滋養にされてしまう。」

ここから自分の話。花見の季節、友人に「穴場スポットがある。」と言われて誘われたのがそんな桜の下でした。山中のちょっと開けた場所に、たった一本だけ満開の花をつける桜は美しいと同時にちょっと異様でもありました。何事もなく酒宴を楽しみましたが、帰りには一応根元に未開封のワンカップを置いて「お騒がせしました。」と礼を述べてから山を下りました。残念(?)ながら、特に不思議な体験はありませんでした。

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