こっくりさんの憑依

昭和50年代後半、神奈川県内の中学校で起こった事件である。

この学校は旧陸軍兵舎跡地にあり、生徒の間では戦死者の亡霊が出るという噂が語り継がれていたという。5月の放課後、3年生5人(全員女子)、2年生3人(全員女子)、1年生2人(男子)が参加している英語クラブの活動中のことだ。3年生の部長、2年生の部員3名がメンバーとなって「こっくりさん占い」を始めた。
始めてまもなく10円玉が動き始めたため、「危険だからやめよう」と誰かが言い、いったんはゲームを中止したが、「エンゼルさん占い」なら危険はないだろうと再開した。その直後のことだ。




そばで見ていた2年生のA子が「背中が重い、何かが乗っかってくる」と泣き出した。彼女は「霊が呼んでいる」「何かが見える」と叫んだかと思うと、部室の中を駆け回り、ついに部屋を飛び出してどこかへ行ってしまった。部屋は騒然となり、すぐに部員が手分けして探し、A子は自分の教室の席でボンヤリと座っているところを発見された。さて、A子はすぐに正気を取り戻したが、もう誰もさすがに占いを続ける気にはならない。捜索に参加していた1年生男子のBとCは、自分たちの教室に戻ることにした。

二人が教室に入った直後、Bはコンクリートの壁に女性の影を見た。次いで肩と腕が重くなり、女性の声が聞こえてきた。「地獄へおいで」と。怖くなったBは教室から逃げ出し、廊下を走り出す。Cは驚いてそのあとを追う。壁に気づかず頭をぶつけながらも走り続けるB。結局、4階にある教室の窓を開けて登ろうとしていたところを、ようやく追いついたCが押さえつけて部室に連れ戻した。

一応Bが落ち着いたところで、Cはこっくりさん占いの用紙を片付けなければ危険だと考え、一人で教室に戻ることにした。すると今度はCを怪異が襲った。Cは教室に入ったとたん、壁に白い影のようなものを見、背中が熱くなるのを感じたのである。Cは、足の力が入らず床を這いずり回っているところを発見され、部室に連れ戻されたという。話はまだ終わらない。その1年後のことである。

前年度の事件は校内でも噂になっており、特にBとCのいた1年X組では「このクラスは呪われている」と密かにささやかれていたという。4月下旬の放課後、1年X組の女子4名で「エンゼルさん占い」を始めた。20回目を行ったところ、一人が急に泣き出した。その後、そばで見ていたD子が、手足が自分の意思に反して動き出したり、狐の霊がとりついて普段とは違う声で喋り出す、といった憑依状態になった。同時にE子とF子ももうろう状態となり、手の自動運動が出現した。
E子とF子の症状はまもなく消失し、その後症状が出現することはなかった。しかし、D子はその後も学校で自動運動、憑依現象が持続し、精神科を受診。

受診時は、D子(本人)とN子(悪い子)という2人の人格が交代して出現する多重人格状態で、N子のときには「D子を殺してやる。そのために乗り移ったのだ」と叫んだり、母親に悪態をついたり物を投げたりする状態だった。症状が消えるまでは1ヶ月半の入院を要したという。

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