幼い頃に親戚から聞いた…今は亡き、うちの祖母ちゃんにまつわる話です。
今から60~70年昔、戦前の出来事。
当時20歳前後だったと思われるうちの祖母は、最初の子供を出産するため病院に入院していました。
隣のベットには10歳くらいの女の子が長期入院していて、うちの祖母とは仲がよかったらしいと聞いております。
その女の子は食事障害か栄養障害で入院していたらしいのですが、詳しいことは今となってはよく分かりません。
ある夜、祖母が病室のベットで横になっていると、突然窓が開き、
猫くらいの大きさの得体の知れないサルのよう真っ黒な生き物(?)が入ってきて、
「ギェーギェー」と鳴きながら、祖母の寝てるベットの上に乗ってきたそうです。
怖くなった祖母は、肌身離さず持っていた数珠を手に取り、必死に念仏を唱えました。
(祖母は熱心な浄土真宗信者だったので、多分浄土真宗の念仏だと思う)
『私とお腹の子には関わらないで!』と念じながら、念仏を唱えたといいます。
しかし恐怖のせいか、その生物(?)のせいか分からないのですが、大きな声を上げることは出来なかったと言います。
その生物(?)はしばらくの間「ギェーギェー」と鳴きながら、祖母のベットの上に居座ったそうです。
しばらくすると何もせず、恐怖以外何も残さずにベットから飛び降り、
長期入院の女の子が寝ているベットに飛び乗り、また「ギェーギェー」と鳴きながら、病室に居座ったそうです。
その生物(?)は何時間か病室に居座ったらしいのですが、結局は窓から外に出ていなくなってしまったそうです。
祖母はその生物(?)が出て行くのを確認し、しばらく様子を見ると、ドッと疲れが出て眠ってしまったといいます。
翌日、隣のベットの女の子は死んでいたそうです。
昨晩までは元気にしていて、特に変わった様子はなかったそうですが、
一晩の間に信じられないくらい衰弱して、死んでいたそうです…
その後、祖母は無事に元気な赤ちゃん…俺の親戚の叔父さんにあたる人を産みました。
その人を産んだ後にも、なんと9人もの子供を産みました!
うちの親父も含む…その内の7人は今も元気に暮らしています。
(最後の一人の子は死産だったそうです。あと、叔母の一人は俺が生まれる前に病死したそうです)
90年代の初頭、まだ俺が幼い頃に、祖母は80年の生涯を閉じました…
生前、『黒く小さな怪物』についての話を、何人かの人にしたそうです、
(俺はこの話を聞いた人の一人である、叔母からこの話を聞きました)
祖母はその時のことを振り返って、「あれは…たぶん死神だったのかもしれないわね」と語ったそうですが、
死神なのか、謎の生物なのか、悪霊なのか、本当のことは分かりません、
俺は「もしホントの話なら、もしそんな怪物がいるなら、宇宙人とかUMAの類だったりしてね…」
とか考えてますが、みなさんは『黒く小さな怪物』を何者だと思いますか?
暇だったんで、もうちょっと詳しい話を聞いてみたよ。
・病室は二人部屋とかじゃなくて、何人かが共同で使う部屋だったらしい
・当時は赤痢が流行っていて、消化器系の病気での入院患者が多かったらしい
・死んだ女の子は腹具合が悪かったらしいけど、赤痢じゃないらしい
・祖母ちゃんは出産のため入院してたというより、妊娠中に体調を崩して入院したらしい
・祖母ちゃんは女の子が死んだ後も入院していて、何回か黒い怪物を目撃したらしい
・黒い怪物は病人に圧し掛かるらしい、圧し掛かられた人は次の日必ず死んだそうな…
・祖母ちゃんはそいつが来るたびに、数珠を持って念仏を心の中で念じたらしい
・黒い怪物は窓を開けるのではなく、窓をすり抜けて来るらしい
・黒い怪物がいる間は声が出せないらしい
・祖母ちゃんはなんともなかったけど、すぐ近い時期に祖母ちゃんの姪は突然死したらしい
ちょっと細かい設定を聞いてみると、なんか祖母ちゃんは紙一重で助かっているような。
信心深い人だったらしいから、信じる者は救われるって奴か?
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救われた人「だけ」が、語れるわけで
で、人は理由付けしたがるわけで