妖怪・怪異・八百万の神々

消えるわけがない手形・・・・

以前、会社の物好きな連中と心霊スポット巡りに行きました。
地元湘南で「鎌倉湖」と呼んばれている池に行った時のことです。そこには「この池で、昔、多くの幼い命が失われた…云々」
と言った看板が有り、ただでさえ怖いのに更に追い打ちをかけていました。

一通り歩き回り、何事もなかった私達は安心して車へ戻りました。遠く、外灯の下に車が見えます。小さな子供が2人、車の周りで遊んでいます。友人達は「夏休みだから、遅くまで遊んでるなあ…」等と、呑気なことを言っています。やがて、私達に気づいたのでしょう、子供達は走り去ってしまいました。車に乗ると、窓に可愛い手の跡、そう、何かで濡れたような手の跡がびっしりでした。

「くっそお!あのガキ!!」
友人は雑巾を手に 車を降り、スプレーを吹き付けました。雑巾が、窓を拭います。消えません。怪訝そうに見守る友人、一生懸命に拭く友人。やがて、あきらめて車に乗ってきました。
「何をつけたんだ!!」
不機嫌そうな彼に私は言いました。

「…消える訳無いじゃん、それ、内側だよ」
雑巾を奪い、軽く一撫で、いとも簡単に消えました。