妖怪・怪異・八百万の神々

死への先導人

私がまだ学生だった頃にした、奇妙な体験です。
友達Aのいとこでペンションをやっている人というので、卒業記念にみんなで泊まりに行きました。ペンションのまわりにはあまり遊ぶところがなく退屈していると、オーナーが「少し歩くと山があるから登りに行くといいよ」と教えてくれました。

さっそく私たちは山に登りました。「帰りは違う道で帰りましょう」と、下山は違う道から行ってみることになりました。しばらく行くと、手すりがなくなり、霧が出てきてしまいました。それでも私たちの歩く前にカップルの声が聞こえているので、その声を頼りに霧の中を歩いていました。ところが、手すりの次は足下が悪くなっていたのです。

しばらくすると、友達の一人が「ちょっとまって!おかしいよ!」と叫びました。その時、今までの霧が嘘のように晴れて、目の前は断崖絶壁・・・・。

あの時友達が叫んでいてくれなかったら、私はここにはいないでしょう。霧が晴れたにもかかわらず、カップルの声は私たちの前でおしゃべりをしていました。誰もいないのに…