妖怪・怪異・八百万の神々

【ミリタリーショップの裏話】血痕の着いた軍服を丁寧に洗う仕事【還給品】

大阪のアメリカ村にあるミリタリーショップにまつわる怖い話。そのお店の商品はいわゆる「還給品」と言って、なんらかの理由で兵士たちが軍に返納した軍服などでした。店長はよく、「還給品には血痕がついていることがあるから丁寧に洗うんやで」と口酸っぱく言っていました。そして、私は店長の指示どおり夜遅くまで軍服などのクリーニングに勤しんでいました。

その日はいつもより多くの「還給品」が仕入れられ2階の倉庫に山積みになっていました。私も残業してクリーニングをしていました。すると、トントントン。階段を降りる音がします。店長かな?そう思って振り返りますが、そこには誰もいません。気のせいかと思うのですが、またトントントントントントンと階段を降りてくる音がします。振り返るとそこには軍服姿の男が立っていて、私と目が合うとすっと消えていきました。

翌日、店長にこの話をすると、「還給品っちゅうのはな、怪我したり、中には死んでもうた人が着てたものが混じってんねん」と教えてくれました。ならばお祓いすればいいじゃないですか。と私は言いましたが、店長いわく、お祓いしても意味がない。だからせめて血痕がないようキレイにクリーニングして売るんだと言われました。私の人生の中で一番怖い体験でした。