妖怪・怪異・八百万の神々

雨の中佇む男

短いし話だし、害はなかったけども怖い話。

ウチでは犬を飼っていて、夜寝る前には庭に出しておしっこをさせてから寝るようにしてるんだが、
その日は結構な量の雨が降っていたが、寝ションベンされてもたまらんので、
いつも通りおしっこさせに一緒に玄関から庭に出たら、ウチの犬がいきなり家の中にUターンしてきた。
滅多にないことだったので、俺だけ外に出て何があったか確認してみたら、
家の裏手の空き地を挟んだ向かいの道路に、
スーツを着たおじさん?が、異常な雰囲気で傘をさしてこっち側をぼうっと見て佇んでいた。
自然と、眼を離したらいけない+大声を上げてはいけない気がしたので、
目線はおじさんに向けたまま手探りで玄関を開けて親を呼んだ。

んで親父に確認してもらって、親父も「あれは不審者だ」と言って母親に110番させて、
親父自身は玄関からそいつの監視。
俺は家を出て裏手に回ってそいつに声をかける、ってことにした。

んで裏手に回って声をかけようとしたら、そいついないの。
だもんで、親父に電話して「いなくなってるよ」と言ったら、
『瞬きしたらいなくなってた』って言われた。
まぁ正直親父が適当に監視してたんだろと思ってたから、ここまでは然程怖くなかった。
でも、道路を見たらめちゃめちゃ怖くなった……
そいつが立ってた場所だけ、コンクリが円形状に殆ど濡れてなかったから。
直前までそこにいたという事実と、いつからそこに立っていたのか?っていう疑問が、
俺のみならず家族を震え上がらせた。
まぁこの後、自分が寝る前に窓からふと家の裏手を見たら、また同じ場所にそいつが立ってて泣きたくなったね。

結局、この時は目を離した一瞬で消えて、それから現れないし害もなかったけど、
まぁあの佇んでるだけってのが余計に怖かった。