妖怪・怪異・八百万の神々

あの世の食べ物

裏高尾まで紅葉を見につうか、軽いハイキング気分で出かけてきたんだが、
そこの山道で、キノコ取りに来ているおっさんと出会ったんですよ。
で、俺も暇なもんだから、色々とそのおっさんに、
食えるキノコと食えないキノコだとか、アケビだとか教わっていると、
藪の中から浮浪者みたいな婆さんが出てきて、スジコ?みたいな木の実を差し出してきたんですよ。
何かすんごくニカニカしながら、「美味いから食ってみろ」的な事を繰り返し差し出してくるんで、
ん??っと思いながらも、おっさんの知り合いかと思って受け取って振り向くと、
おっさんが能面みたいな無表情になってるのよ。
でもって婆さんはと言うと、満足したかのように藪の中に戻って行っちまったのよ。
そしたらその瞬間、おっさんが俺の受け取った木の実を掴んで反対の藪の中にポイっ。
??っと思いながら理由を聞くと、「ヨモツヘグリだ」っと言って黙りこんで、
それ以上聞ける雰囲気じゃなくなり、有無を言わさず山を降りる事になったんですよ。

その時は、あの婆が山の持ち主で、木の実=京都の料亭のぶぶ漬けみたいなものなのかなぁ…
つまり、山の持ち主からとっとと帰れというサインを受け取ったのか、と勝手に解釈したんだけど、
見た事無い木の実だったから気になって、今さっきおっさんが言っていた『ヨモツヘグリ』で検索かけたら、
『黄泉戸契』とか出てきちゃったという…