妖怪・怪異・八百万の神々

折れた大木の下の猫集会

子供の頃、住んでた街の大木に雷が落ちた。大人二人でやっと手が回るくらいの大きさの樹。当時、マンションの6階に住んでて、その時はずっと遠くの雷を見てて、すぐそこの並木道に落ちた瞬間を見た。まさか、こんな近くに落ちるとは思わなかった。近くで遊んでた妹は、引っくり返って驚いてた。妹が見に行きたいってグズったけど、親に行ってはいけないと怒られた。正直ボクも行きたかった。樹の欠片が欲しかったから。だから夜中、家を抜け出す事にした。

午前1時。妹に叩き起こされて出発。雨は上がってたけどジメジメがすごい。現場までは大体5分くらい。到着すると妹が「すごい!すごい!」と興奮してる。ボクが「すごい。こんな太いの折れた」て言うと、「違う下!根っこのとこ」
よく見ると、樹の周りに猫がいっぱい集まってるの。10匹はいたと思う。わー!って近づいたら、なんか大型犬くらいのヤツが上にいて、こっち見てる。

睨まれた瞬間、一歩も動けなくなった。すぐに霧みたいになって消えて、動けるようになって、急いで家に帰った。帰る途中に妹が「銀色きれいだったねー」なんて言ってたけど、ボクにはそこまで見えなかった。