妖怪・怪異・八百万の神々

洗ってはいけない『便所の神様』

うちの母方のばあちゃん家にも変な神様が便所に居て、木彫りの人形なんだが、洗ったりすると火事とか火傷とか、火に関係した嫌な事が起こるんだって。何か一回盗まれたけど、よくわからんが盗んだ人が返してきたりとか。従姉妹の妹がばあちゃん家を継ぐ予定らしいが、個人的には寺とかにやってしまいたい…。少なくとも80年は居るようだが…。

意味はよくわかんないけど、家族はその木彫りの人形を「便所の神様」って呼んでて、文字通り便所に置いてある。同じ地域には、もう一軒置いてる家があって、それ以外の家はそれぞれ後継がなく絶えたり、家ごとよその地域へ引っ越して行ってしまった。今もこの地域にいるのはうちとそこの家だけ。うちのはとにかく洗うの厳禁なんだって。火事になるから。母親の叔母さん(多分)は洗うのはしなかったが、干しといて雨が降ったかなんかでちょっと濡らしてしまって、火傷したんだって。

じいちゃんが去年亡くなったから、もう誰も拝んだりとかしないし、子供の頃から気味が悪かったから、どうにかならんかな…。とっても良い顔とは言えない彫り物なんだよね…。じいちゃんにどっから来たか聞いても、じいちゃんが子供の頃からあって、今建ってる家の前っからそこにあったから、どっから来たかもわからんって。