妖怪・怪異・八百万の神々

特殊な家系

あんまりたいしたいわれじゃないけれど、うちの家系は、神様にお祈りしてようが幽霊に罰当たりなことをしようが、なんにも影響を受けることが出来ない家系なのだそうな。そのせいか、蔵に良く分からない預かりものが沢山おいてある。お札で包まれた箱とか、人の腕のミイラみたいなのとか、お経の書いてある壷とか。信じるとか信じないとか言うのとは別の次元で、たとえば縁起を担ぐとか、そういうのが一切の効果を発揮しないのだそうな。

行っていい神社とダメな神社がある。奉ってる神社じゃなくて、意味があって存在している神社だと、迷惑をかけてしまうことがあるらしい。自分には何も起こらないのでよくはわからないのだけれど、知り合い曰く、線路に置き石するようなものだそうな。具体的にどうなるのかは家族の誰も知らない。人様に迷惑かけたくないから試さない。家族の話すごくしたいのだけれど、一番最初に前置きしたように、何もないのが特徴だから、逸話らしい逸話はないよ。荷物を持ち込む人も、ばあちゃんが見たこと有るとか其の程度だから。強いてあげると、何年かに一回、自分の木にお参りするくらい。

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ばあさまに話を聞いてみたよ。
人にも呪われないし、神様にも祝福されないけれど、その理由は根っこの部分で呪われているからだそうな。なんでも、ご先祖が悪い神様をこらしめるために、神様の左腕を切り落としたそうな。すると、神様の左腕から溶岩が噴出してしまったと。ご先祖様は、これはやばいと思い、とっさに切り落とした腕を食らったそうな。腕を食らったおかげで焼けずにすんだけれど、以来あんまりにも不吉なもんで、幽霊も神様も呪いも祝詞も近寄ってくれなくなったそうです。