妖怪・怪異・八百万の神々

山ですれ違った修験者達の顔

大学時代の山岳部の先輩の話。その先輩がとある尾根を進んでいると、向こうからおそろいの黄色い装束を着た修験者が10人ばかり二列になって疾走してくる。足元は草鞋履きで手に錫杖を持っている。

先輩があっけにとられて見ていると、そいつらは先輩の前まできて道中笠をぽーんと放った。するとどの修験者も信楽焼のタヌキの顔をしている。修験者達は「ホッホッツホ- エサホッツホー」と叫んで足元の悪い場所で1回転すると、いっせいに消えたという。