妖怪・怪異・八百万の神々

学校で見た幻覚が意味していたこと

彼が学校で授業を受けている時に外のグランドを見たら、今教室でしゃべっている先生が走っているのが見えた。何度も確認したんだけれど、やっぱりその先生だった。クラスにいる生徒に話したんだけれど、誰も見えず、誰も信じてくれなかったので、その日はそれでその話をするのをやめた。

けれど、次の日にはそのクラスの生徒が一人、先生と一緒にグランドを走っているのが見えるようになった。その生徒も自分と授業を受けているにもかかわらず。次の日、また次の日となると、グランドを走っているクラスの生徒の人数が増えていって、最終的には彼を除いたクラスの全員が先生と一緒に走っていた。その頃になると誰もその話を信じてくれなかったので、みんなに話すのをやめてしまっていた。

そんなことがあってしばらくした頃、修学旅行があった。クラスごとにわけられたバスに乗って観光地を回っている時、さしかかったカーブで彼の乗った3組のバスが転落して、彼だけが助かった。つまり、グランドで走っていたメンバー全員が、亡くなったことになる。

彼の卒業アルバムを見たら、学校の配慮で3組は別のアルバムが作られていて、僕が見た卒業アルバムは彼が2組に入っている写真だった。