妖怪・怪異・八百万の神々

あるノイローゼ患者が小さくなった理由

うちの父から聞いた話を一つ。
千葉県のとある病院に勤めている父はその晩特に急患も無く、まったりと宿直室にいたそうです。突然見回りをしていた看護婦が宿直室にやってきて「先生、○○室のKさんが居なくなってます。」と報告を受けたそうです。

Kさんは前日、入院してきた軽度のノイローゼ患者でした。父と看護婦で、病室に行くと確かにもぬけのからでした。おかしいな…病室からは出られない様になっていた筈なのに。一緒に来ていた看護婦に、とりあえず他の階に居ないかどうか、探すようにと指示を出し、もう一度部屋を見渡しました。

すると…カーテンが揺ら揺らと揺れているの気が付きました。まさか…な。と思ってカーテンを開くと、カーテンの向うにある窓が開いてました。父の勤務する病院は精神病院ではなく一般救急です。父は寒気を感じながらも、その窓から身を乗り出し、下を見ると、1階の屋根の部分に女性らしき人影が見えたそうです。

父は同僚の医師と急いでそこに向かい見ると、少し小さくなったKさんがこっちを向いて「おーい、おーい」と手を振っていました。父が近づくと、何故Kさんが小さくなったのか判りました。下半身がほとんど潰れていたらしく、夜と言う事もあって近くに行くまで判らなかったとか。(Kさんが居た病室は5、6階らしいですが、細かい話までは覚えていません)Kさんは、その晩死んだそうです。…Kさんは一体どうやって、その状態で父に向って手を振ったのでしょうか…。未だに分かりませんが、「間違いなく手を振ってきた」と父は言っています。