妖怪・怪異・八百万の神々

三途の川の渡し賃を入れなかった結果

ある家族がいた。祖父・祖母・父・母・子という家族構成だった。
ある日、祖父が死んだ。焼く時には、三途の川の渡し賃6文を一緒にいれるのが習わしだが、現代そんなものは手に入らない。だから、日本円で数万入れて焼く。

しかし、この祖母はがめつかった。「死んだ奴の為に金を焼くだなんて勿体ねぇ」そう言って家族の反対を押し切り、棺桶からお金を奪い取った。子は大人が騒いでる中、静かにお小遣200円を棺桶に入れた。祖父は焼かれた。その夜、子は夢を見た。祖父が船に乗り「お前のお陰で乗ることができた。ありがとう」という夢。

時が経ち、祖母が死んだ。祖母は、死ぬ前に言った。
「タンスにヘソクリがある、私のお金だ。一緒に持っていく。棺桶にいれてくれ」
祖母の葬式もいよいよ最後の時が来た、焼く時だ。係りの人に呼ばれ、親戚一同最後の別れと棺桶を開けられる。
「死んだ奴の為に金を焼くだなんて勿体ないんだよね?バァちゃん…」
子はそう言い、お金を全てとった。子はその夜に夢を見た。川を流されて行く祖母の姿を。