妖怪・怪異・八百万の神々

猫とタケノコ

5年程前に、天国に行った猫の話。

普通の猫だったんだけど、一つだけおかしな所があった。それは、竹の子に異常に反応するところ。キャットフードで育てたから、人間の食事に興味は無かったんだけど、竹の子にだけは、まとわりついて離れない。調理したあとも食卓に登る始末。普段はそんなことしないのに。でも食べるわけじゃなく、匂いを嗅ぐだけ。


そんな猫だったけど天寿を全うし、庭に埋めてあげた。そうしたら、その年から庭に竹の子が生えるようになった。竹はそれより以前に植えているから、偶然なのかもしれない。でも、その竹の子を食べるたびに、一家全員「お礼だな」「うん、お礼だ」と、ごく自然に受け止めて、在りし日の姿を思い出す。おいしい竹の子、ありがとう。