妖怪・怪異・八百万の神々

山の西瓜

秋になると登山シーズンです。
よく墜落が、登山シーズンには起きるそうです。
そのご遺体は頭が割れている為、スイカと呼ばれるそうです。

しかし、秋に墜落事故をして逝かれても、ご遺体は雪のため、春まで放置されるようなのです。
中には発見されることなく、忘れ去られているご遺体もあるそうです。
万年雪の中にもあるときが、ときたまあるようなのですが・・・

その登山シーズンの秋、登山部では、
「スイカを見たら振り向くな。振り向いたら自分もスイカになる」
ということがよく言われるそうです。

そしてこれは、実際に体験した方の話なのですが・・・
山の尾根を歩いていると、向こうから数人の集団が歩いてきました。
先頭の人間が「スイカだ!」と叫んだそうで、皆がその集団に向かって会釈をしました。
大学のサークルの1年だったその方は、訳も分からず会釈をしました。
会釈をし終わって、その集団が横を通り抜けようとすると、頭がクシャクシャに潰れていたそうです。
驚いたその方は、慌てて振り向こうとしましたが、
後ろの先輩が「振り向くな!」と大声で怒鳴るので、何かあると感じたその方は、興味を抑えて、
無事に山頂の宿舎にたどり着けました。
その方は、スイカのことについては後から聞いたようです。
もしもあのまま振り返っていたら・・・

前後を登山経験者の長い方で、真ん中を経験の浅い方という並び方で登るのは、
スイカのためでもあるようです。
先頭の方がスイカであることを知らせ、最後尾の方が振り向かないように監視をする為に。