妖怪・怪異・八百万の神々

【消えた墓】墓参りに行ったら婆ちゃんの着物の匂いがしてきた

二十年くらい前の秋の彼岸だったかなぁ。山の上にあるお寺に、爺ちゃん婆ちゃんの墓参りに行った。だけど、到着するやいなや親を含む親戚の大人達がなんだか騒ぎだした。聞くと「墓がない」ってみんなで探しているようだった。

子供だったオレは「それじゃジイチャンとバアチャンがかわいそうだな」なんて呑気なことを考えていた。子供ながらに悲しくなった。そのうちにふと、嗅ぎ覚えのあるバアチャンの着物の匂いがしてきた。そっちの方に歩いて行ってみたら○○家の墓って書いてある墓石があった。皆のとこへ戻って父親に報告すると「そんなとこに在るわけない」と怒られた。その後も大人達がさんざん探したけど、結局墓石は見つからなくて。本堂へ坊さんに話を聞きに行くことになった。

一人だけ置いて行かれたオレはまた○○家の墓って書いてある墓石のところへ行って、皆が置いていった桶から柄杓で水をかけたりしてた。がやがやと大人達が戻ってきて目を丸くしている
なんとなく自慢げな気分になったのをまだおぼえてる。その寺に飾ってあった地獄絵大好きだったなぁ