妖怪・怪異・八百万の神々

悪意のある洞窟

Sとある山にいった時、辺りを探検しようぜって話しになって、その辺歩いてたんだ。
そしたら、洞窟?なんだったんだろあれ。
とにかく穴があってさ、つくったものみたいだった。
面白そうだったから入ったんだよ。

そしたら、真夏だったんだけど、入った瞬間めっちゃ寒いの。
クーラーがんがんに効かせてる感じ。
奥とか真っ暗。

で、普通に歩いていったら、いきなり外からすごい雨の音がしてさ、
振り返って入り口見たら、さっきまで晴れてたのに本気で雨ふってんだ。
こりゃ出れねぇと思って前見ると、まだ奥に穴が続いてる。
なんか荒い息聞こえて振り返ると、Sが真っ青な顏して震えてるんだよ。
「おい。どうした?」て聞いたら、
「わかんねぇ。気分わりぃ。まじさぶい」って。
腕見たら鳥肌たってんだ。
たしかにこの穴寒いけど、今外に出ていって雨に打たれるのもやばいと考えた俺は、
「ちょっと休もうぜ」と言って、岩壁にもたれて座った。

そしたら、段々寒さがひいてきた。
外は相変わらず雨。
Sも「寒さはなくなってきた。でも気分わりぃ」と言う。
逆に入り口の方から冷たい風が入ってくる。
「変な気候だよな。まぁ山だししょうがねぇな」
なんていいながら、奥の方へ行くか?て話しになった。
でもなんとなく、なんでかわかんねぇけど、ふと外が気になったんだよ。
そいでSに、「ちょっと外見てくるわ。ここにいろよ」って言って外に出た。

雨なんてふってなかった。
ふった形跡もない。暑いし。晴れてるし。
穴の方から、なんとも言えない冷気が漂ってくる。
やばい。なんかわかんねぇけど、これやばい。
奥に少しいった時、たしかに穴の中の方が暖かくて、入り口から冷たい風みたいなんが入ってきてる感じだった。
考えてみると、寒さがひいてきたのも不自然だ。
面白半分で入る癖治そうと俺は思った。

穴に向かって、「S!今すぐ出ろ!!!気合いで出ろ!!」と叫んだ。
返事がない。俺は迷った。戻りたくない。でも見捨てる訳にはいかない。
俺は走って穴に突入した。

そしたらSが、「さみぃ…まじさみぃ…雨やまねぇ…」とか言いながら、穴の更に奥の方へ這って行こうとしてるとこだった。
先は真っ暗だ。Sがホラーだった。

俺はSを無理矢理立たせて、引きずって穴の外へ出した。
洞窟の中は寒かった。なんで暖かいとか思ったんだろう。
S笑いながらぶつぶつ言ってたけど、一発殴ると正気に戻ったからよかったよ。