妖怪・怪異・八百万の神々

その不思議なおじさんは、時空の歪に消えていった

2013/01/15
小学生低学年の頃に、不思議なおじさんを見たことがある。かれこれ25年も昔のことだから、記憶が所々曖昧なんだけど。その中で、すごく印象深い言葉だけは、はっきり覚えてる。季節は、半袖を着ていたから夏か秋だと思う。夕暮れ時で、空が真っ赤だった。俺は塾の帰りで、駅前の通りを歩いていると、作業服みたいなのを着たおじさんが歩いてきた。

そのおじさんが、何か手に持ってしゃべってる。当時は携帯電話なんてSFの中にしかなくて、おかしな人だなって思った。道行く人たちは、まるでおじさんが見えないように知らんぷり。今になって思うと、確かに関わりたくない人に見えたから、みんな無視していたのかも。でも、誰も振り向いておじさんを見ないし、なんか異様な雰囲気だった。

そのおじさんが俺の横を通り過ぎた時に、俺の顔を見ると、かなり大声で「下がってる!上げて!」って言った。そして、すぐにビルとビルの間の路地に入っていった。変なおじさんだな、と思いつつ、俺は気になって路地まで戻ると、そこを覗いてみた。そしたら、そこは行き止まりの袋小路だった。

あのおじさんは何だったんだろう。やっぱり、時空の歪みに消えていったのかな・・・それとも未来人?